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夏休みの課題に! せんいの生分解実験のやり方

夏休みの課題に! せんいの生分解実験のやり方のサムネイル画像

夏休み期間中にできる生分解実験

せんいの生分解実験(身近なSDGs)

簡単にできるせんいの生分解実験、夏休みの宿題にいかがでしょうか?

学校で学ぶSDGsののなかでも環境問題への関心は非常に高いようです。様々な物質が環境汚染をおこすことが知られていますが、身近なものである「せんい」も環境汚染物質になることが知られています。 廃棄されて埋め立てられたり焼却される衣服のほかに、洗濯機の排水に含まれる毛くずも汚染物質として注目されています。

サステナブル(持続可能性)の観点からみると地球の浄化能力(分解能力)を超えるスピードで汚染物質が排出されると、サステナブルではない状態になっているといえます。地球の浄化作用の一つとして土の中での生分解があります。

せんいの生分解とは

生分解とはバクテリアや菌類などの微生物によって有機化合物が水や二酸化炭素に分解され、自然に還ることをいいます。生分解の速度は微生物の種類や数、気温や水分などにより異なります。一般に天然せんい(綿・麻・ウール・シルクなど)の生分解は早く、石油を原料とする合成せんい(ポリエステル・ナイロンなど)の生分解には長い時間を要することが知られています。

実験例

実際に実験した結果を紹介いたします。土の中に①ウール(天然せんい) ②ポリエステル(合成せんい) ③ポリ乳酸[PLA](合成せんい)④綿 を埋めた結果が下の写真です。

綿の生分解が早く、次いでウールが生分解していることがわかります。ポリエステルと”特定の条件で生分解する”といわれているPLAは全く生分解していないことがわかります。実験では一年間しか確認できませんでしたがこれらの分解には百年以上かかるといわれています。 地球の浄化能力を超えてこれら合成繊維を排出し続けたために土中や海水中には完全には分解されず、細かくなったマイクロプラスチック(直径5mm以下)という回収できない厄介な状態で残留することになります。

夏休み期間にできる生分解実験のやり方

上記の試験は冬季から開始したためにウールの分解で6か月かかっています。しかし気温が上がってきて雨もふる4月頃から生分解の速度がグンと早まります。むしろ思ったより早すぎて影も形もない!なんてこともあるぐらいです。4月から5月頃にかけて土に埋めた場合、綿やウールは約1か月でボロボロの状態になります。完全に分解してしまうと何が何だか分からないので小まめなチェックが必要です。

【用意するもの】

①プランターと土。もちろん花壇でも構いません。(土はできれば養分のある”花の土”が生分解が早くてよい)

②生地(着古した綿シャツ、ウールのセーターの切れ端、いらなくなったポリエステルのTシャツなど)

【実験の方法】

①プランターの土の中に生地を埋めます。深く埋める必要はなく5cmほど土がかぶる程度でよいです。

②土の表面にときどき水を掛けます。草花にやるよりも少ないぐらいが適当です。乾きすぎず、いつまでもビチョビチョではない状態がいいです。

③ときどきそっと掘り出して状態を観察しましょう。(最初の1週間は放置してよい)

【注意点】

①生地は「組成表示」を確認したものを使いましょう。

②1週間から2週間経過した生分解の初期には、白色・黄色・青色などのカビが発生します。忘れずに写真などで記録しましょう。(カビの発生は生分解が始まったサインです)

③真夏の炎天下は水分が乾きやすく、地温も極度に上がって生分解にはかえって良くない場合がありますので、プランターは日陰に設置しましょう。(春は日向の方が良い)

④1か月ぐらいで綿やウールは分解が進んでいると思います。2週間目以降は小まめにチェックしましょう。

⑤条件により1か月を超える場合もあると思います。余裕をもって7月中旬には実験を開始しましょう。

 

おわりに

実験はうまくいきましたか?

綿は草木や葉っぱなどと同じ仲間、ウールやシルクは動物の毛や昆虫などと同じ仲間で、ともに生分解という地球の浄化作用でいつか消えて自然に還ります。分解の際に生じた水や二酸化炭素はまた植物に利用(光合成)されることで生命の源となり、永遠に循環しています。 人間の英知が発明した合成繊維はその誕生からわずか85年ほどでその便利さから天然繊維を押しのけて大量に使われることになりました。ここにきて「生分解に膨大な時間が掛る」という欠点が明らかになってきました。

天然せんいは条件が揃うと思ったよりも早く分解することを実感できると思います。実験に使った土には天然せんいが生分解するときに生じた、植物に有用な養分を含みますので捨てずに草花を育てるのに利用しましょう。

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