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ウールの秘密

ウールは優れた有機質肥料になる

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有機物質は自然界で循環する

自然界では肥料はいらない

山の木や雑草は肥料を施さなくても日当たりさえよければ元気に育ちます。これは植物が光合成を行うことで自ら必要な栄養素を作り出すことができるからです。自ら作り出せないミネラル類は根が地中から吸収することで補い、最終的には枯れて生分解することで土中に還元されます。このときに光合成で使用した(取り込んだ)二酸化炭素は空気中に戻ります。そしてこの土壌に落ちた種子は発芽して成長する・・・このサイクルを営々と繰り返してきたのです。

ところが畑で立派な野菜を作るときには肥料が必要となります。これは野菜の栄養がたっぷり詰まった部分を収穫するために、土中に還元される養分が不足してしまうからです。

堆肥と肥料について

ここで少し肥料と堆肥についてお話しします。植物の育成に大きく影響する元素を多く含み植物が吸収しやすい形状にしたものを肥料と呼びます。特に土壌中で不足しやすく、施用効果が大きい窒素、リン、カリウムは”肥料の三要素”と呼ばれています。このほかにカルシウム、マグネシウム、マンガン、ホウ素、ケイ素なども肥料の主成分として取り扱われています。肥料には動植物の有機物から作られた「有機質肥料」と空気中の窒素や鉱物などの無機物から作られた化成肥料があります。ちなみに「肥料」は明治以降の言葉で、それまでは「肥やし」と呼ばれていたそうです。

一方、堆肥は樹皮や落ち葉などの有機物を時間をかけて腐熟させたものをいいます。堆肥にも窒素・リン・カリウムなどは含まれていますが微量で、むしろ土壌の改善(水はけ・通気性など)を目的に施用されており、肥料と堆肥をうまく組み合わせて使用することで作物の収量を増やすことができるのです。

ウールは堆肥か肥料か?

堆肥としてのウール

ウールは十分な土に混ぜて埋めると数か月で消えてしまいます。このように生分解する過程でゆっくりと養分(主に窒素分)を放出するので堆肥と考えることができますが一般的な堆肥(樹皮や落ち葉)と比べると土に混ぜ込みにくく、また国内では生産量が少ないという流通の問題もあり、堆肥としては使われていないのが実情です。

 

肥料としてのウール(豊富なアミノ酸)

ウールを特定の温度・圧力下で処理すると茶色い粉末状の肥料になります。この設備を有するのは奈良県に一社あるだけで世界的にも珍しい技術です。肥料の表示としては「窒素全量10%」となり、鶏糞(窒素全量3%程度)と比べても非常に肥効が高いことがわかります。

更に特徴的なのが肥料に含まれるアミノ酸です。下図はその分析結果ですが18種類のアミノ酸が検出されています。これはウール自身が持つアミノ酸の含有率に合致しています。シスチンだけが少なくなっていますが、これは粉末状に分解されるときに消失したものと思われます。

アミノ酸の効用

少し前まで植物は有機・無機肥料ともに無機の窒素だけを根から吸収し、それが光合成によりアミノ酸、タンパク質に変化すると考えられてきました。(下図の右側のフロー) しかし最近の研究ではアミノ酸を直接吸収することがわかってきました。(下図の左側のフロー) まだあまり研究がされていないのでわからないことが多いのですが、光合成を経ずにアミノ酸を得ることができるので冷害などで日照が十分にないときに有効なのは想像に難くありません。また奈良県で製造されている肥料「蒸製毛粉」(羊毛工場の落ち毛、筆の切りくず、ムートンの端材などを原料にする)はお茶やイチゴ・葡萄の農家からの味が良くなるということでとても好評だそうです。

おわりに

ウール製品は使い終わって土中に埋められると生分解され二酸化炭素と養分になります。これらを再び植物が利用して成長し、それを羊が食べて毛が伸びる・・・これは有史以前から延々と続いてきた”サーキュラーエコノミー”です。私たちはサステナブルなウールをさらに余すことなく農業にも有効利用できるように六甲山牧場の毛刈りで発生した不要な毛や回収した使用済み製品を肥料化することを検討しています。ウールグリースの影響や製品の分解方法など課題はありますが、アミノ酸たっぷりの”美味しい肥料”に生まれ変わることを願っています。

肥料の名前はもう決まっていて表題の挿絵にある「ラナリン」です。~ Coming soon ~

 

 

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