グローバルナビゲーションのボタン
雲
雲
雲
雲
太陽
風船
草
草
草
草
草
草
草
草
草
草
草
風船
風船
風船
風船
鳥
鳥
鳥
森
森
カテゴリ
飾り
環境にやさしいウール 環境にやさしいウール
飾り
タイトル板
環境にやさしいウール

羊のゲップと地球の温暖化

羊のゲップと地球の温暖化のサムネイル画像

温暖化とメタン

地球温暖化ガス(GHG)としては二酸化炭素が代表格ですがメタンガスもその一つです。メタンの空気中の質量割合は0.0001%と非常に少ないにもかかわらず、温暖化効果の高さからその増加が注目されています。メタンの発生源には自然起源と人為起源があるのですが、最近メディアではその意外性からか牛や羊のゲップがクローズアップされるようになりました。更にはこれが諸悪の根源のように捉えてウール製品は環境に悪いと喧伝されることもあります。でもそれは本当でしょうか?四千年も人類がともにしてきたウールが地球を滅ぼす?ことがあるのか、考えてみたいと思います。

メタンガスとその発生源

大気へのメタン放出源には人為起源と自然起源のものがあります。

代表的な自然起源:
・湿原、ツンドラ(有機物が嫌気的な環境で分解する際にメタンが発生)
・反芻動物、白アリ(   〃   )
・火山活動、山火事
・メタンハイドレート(浅い海底のもの)

代表的な人為起源:
・化石燃料の製造と使用
・農業と廃棄物

メタンは大気中のオキシダント(OHなど)による分解や乾燥土中の微生物に利用されるため、10年程度で消滅します。
産業革命前までは、以上のような放出量と消滅量が釣り合っていたため大気中のメタン濃度はほぼ一定を保っていました。産業革命以後に大気中のメタン濃度が増加してきたのは、様々な人為起源放出が加わってきたためです。アジアを中心に営まれている稲作は水田つまり人工的な湿原を用いており、大きなメタン放出源となっています。また牛や羊などの家畜飼育も大きな寄与があります。(ゲップ、排せつ物の分解)これら農業に関する放出は産業革命以前から存在していましたが近年の人口増加が大幅な放出増加を招いています。さらに重要な放出源は天然ガスなどの化石燃料採掘に伴うもので、ガス田やパイプラインからの漏出などが含まれます。またゴミなど廃棄物やその埋立地からのメタン放出も無視できません。

以上の理由でメタンの収支が釣り合わなくなる(放出量が消滅量を上回る)ことで大気中のメタン濃度が増加すると考えられます。下のグラフは1985年から2020年までの大気中のメタン濃度の推移を表しています。(気象庁HPより) 2000年-2005年は横ばいですが全体的に上昇し続けていることがわかります。グローバル・カーボン・プロジェクト(※)がまとめた2017年度の世界のメタン収支では[全放出量 5.96億トン]と[全消滅量 5.71トン]との差[0.25トン〕が大気中のメタン濃度上昇になります。

※グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP):2001年に発足した国際研究計画で、持続可能な地球社会の実現を目指す国際協働研究プラットフォーム「フューチャー・アース」のコアプロジェクト。日本(国立環境研究所)とオーストラリア(CSIRO)に国際オフィスがある。

農業と廃棄物(Agriculture & Waste)について

メタン放出増加の主要因となった部門は化石燃料(生産と消費)、農業と廃棄です。世界の放出量のうち64%は熱帯(北緯30度以南)で生じています。また地域によって放出源は異なっており、例えばアフリカとアジア(中国を除く)では農業と廃棄物が、中国と北アメリカでは化石燃料の消費が主要な放出源でした。放出量が減少した唯一の地域はヨーロッパで、主な原因は農業や廃棄物部門の作業工程におけるメタン放出量削減の対策が進んだためです。残念ながらGCPの資料ではメタンの放出や消滅に関する個別の項目の記載がないため、牛や羊のような家畜(反芻動物)のゲップによるメタン放出の寄与を知ることができません。

下図はいぶき2号が観測した地球のメタン濃度分布です。赤や黄色であらわされる地域の濃度が高いことがわかります。

羊のゲップは増えているのか

下図は世界の羊頭数の推移および生産国の生産量比率を表したグラフです。1990年以降、食肉用を含めた羊の総数は約11億頭~12億頭と大きな変化はありません。

減少するメリノ羊

羊毛の生産は中国が最大ですが市場には出回らず、私たちが普段衣服に使用しているウールのほとんどはオーストラリアかニュージーランドからの輸入です。特にメリノ種からとれる羊毛が繊維の太さや長さ、均一性の点で優れています。メリノ羊の羊頭数は把握できていませんが下のグラフ(灰色の折れ線)が表すようにアパレル向けの羊毛生産量が2000年からの20年間で約35%も減少していることから、メリノ羊が減少しその代りに食肉用の羊が増加していることが伺われます。

終わりに

地球のメタン濃度が増加しているのは事実としてもその因果関係を減少しているオーストラリアやニュージーランドのメリノ羊に求めることは間違っていると思います。もう一度「いぶき2号」から見た地球のメタン分布を見てください。温暖化ガス削減に向けたその原因と対策のヒントはそこにあると思うのです。

ボーダー
一覧ページへ