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ウールの秘密

ウールは発熱する

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湿気を吸って発熱するウール

天然繊維の多くは湿気を吸収すると発熱します。特にウールは発熱量が高く、レーヨン、キュプラ、綿なども発熱することが知られています。最近ではこのような自然由来の繊維や吸湿機能を持たせた合成繊維を使用した「発熱する肌着」が市場でよく見かけるようになりました。ではどうして湿気を吸うと発熱するのでしょうか?

蒸発熱と凝縮熱

まず液体の水が気体の水(水蒸気)に変化する場合を考えてみましょう。身近な例では打ち水や汗が乾くときに涼しく感じますよね。液体から、運動エネルギーをもって飛び回る気体に変化するためにはエネルギーを与えなくてはなりません。打ち水をすると涼しくなるのは水が蒸発(気体へ変化)するときに周囲から蒸発熱を吸収する(吸熱)現象が起こっているからです。反対に高いエネルギーを持つ気体の水蒸気が液体に変化するとき、不要となった運動エネルギーが熱として放出(凝縮熱)されます。蒸発熱と凝縮熱は等しく水の場合は44KJ/molです。

湿気を吸うとなぜ発熱するのか

吸着について

繊維が水蒸気を吸収する場合は凝縮の場合と異なり、水蒸気が液体の水になって繊維が濡れるわけではありません。このように気相から気体分子が固体の表面に取り去られる現象を「吸着」といいます。しかしエネルギーの高い気体が物質に固定されて動かなくなると凝縮と同様に不要になったエネルギーを放出するため、吸着にはやはり発熱がともないます。吸着には物理吸着と化学吸着があります。物理吸着とは分子間に働くファンデルワールス力で気体分子が固体の表面に引き付けられることです。この時発生する熱量は凝縮熱と同程度かやや大きい程度です。一方、化学吸着は気体分子が固体と化学結合するものでその吸着熱は物理吸着よりも大きく数百KJ/molになります。また物理吸着と異なり反応する物質を選びます。

ウールの吸湿発熱

ウールの内部には水との反応性が高い親水基と呼ばれる反応基(カルボキシル基:-COOH、アミノ基:-NH2、水酸基:-OH)があります。ヒトは体温調節のために皮膚表面から常時気体の汗(不感蒸泄)を出しており、この汗がこれらの反応基と化学吸着することで発熱が起こります。またウールの表面や内部では物理吸着も生じており発熱に寄与していると考えられます。

下図は相対湿度が40%→90%に変化したときの生地の温度変化です。通常のウール(未加工ウール)でも6度以上の温度上昇が認められます。反応基を増やす加工をしたウール(WellWarm)ではさらに1℃近く温度が上昇しています。吸湿性がほとんどないポリエステルでもわずかに発熱しているのは物理吸着の影響と思われます。

繰り返し発熱する

大量の水蒸気を吸着してすべての反応基が水と結合すると発熱はいったん停止します。しかし天日干しなどでしっかり乾燥させると再び発熱機能は復活します。着用したウール製品はクローゼットにしまう前に、お手入れを兼ねて天日干しすることはカビの発生を防ぎ発熱機能も再生するのでお勧めいたします。

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