驚異の消臭力 その3
お手入れ方法
ウールは他のせんいとは違い、アンモニア臭も酢酸臭もたくさん消臭(吸着)できます。(←驚異の消臭力 その2 参照)ではその匂いが保管中に衣服から出てきてクローゼットの中でほかの服に移らないか気になりますよね。また臭いを消すにはどんなお手入れをしたらよいのでしょう。
保管中に臭いは出てくるのか?
下のグラフは200ppmのアンモニアに各繊維を晒し(ウールは200ppm、綿は86ppm、ポリエステルは29ppm 吸着しています)、室温に放置して再放出したアンモニア濃度です。
ウールは多量に消臭したにも関わらずほとんど再放出していません。しかし綿とポリエステルは吸着した分の約11~12%ほどを再放出しています。クローゼットの中に一緒に入れてしまうと他の服に臭いが移ってしまうかもしれませんね。
着用した服は湿気やにおいを持ち込まないためにもすぐにはクローゼットにしまわないようにしましょう。
臭いをリセットするには
臭いをリセットする最良の方法は水で洗うことです。
下図は260ppmの高濃度のアンモニアに晒した場合の各せんいの消臭力【青いグラフ】(すべて消臭するウールの消臭力を100としています)です。更に水洗いして再度260ppmのアンモニアに晒したときの消臭力が【オレンジのグラフ】です。
ウールは完全にリセットされて元の消臭力が回復しています。綿も同様にほぼ回復しています。ポリエステルはやや低下しており完全にはリセットされていないようです。
まとめ
ウールは酢酸臭もアンモニア臭も多量に消臭することができます。その限界量は人から発散される臭いの量と比べると遥かに高いので当分(もしかしたら一生?)は消臭能力を気にすることはありません。それでも気になる場合は水に漬けるだけ(洗わなくてもOK)で完全にリセットします。実験はしていませんがアイロンやスチーマーの蒸気を当てることでもかなり回復するのではないかと思います。綿も同様に水に漬けると回復しますがポリエステルはせんい表面に物理的に固着しているためか完全にはリセットできないようです。
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