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ウールの空調性能
ウールは”天然のエアコン”と云われています。 その理由は冬は暖かいのに夏は涼しいからです。 砂漠では昼の紫外線と高温そして夜の冷え込みから身を守るためにウールは欠かせないアイテムとなっています。また夏場は湿度が高く蒸し暑い日本の気候においてもウールはその優れた快適性を発揮します。 冬の暖かさはよく知られていますが夏に快適と云われるのはなぜでしょうか?
日本の気候
日本は温帯ですがその中でも ”温帯湿潤気候(温帯モンスーン気候)” という、夏暑くて雨の多い東アジアの気候に属しています。そのため四季がはっきりしており、変化にとんだ自然を楽しむことができるのです。とはいっても、夏のあの蒸し暑さだけはつらいものがありますね。
ウールの”ドライ機能”
ウールが夏に快適なのはその高い吸湿性にあります。それはまるでエアコンのドライ機能のようです。下のグラフは各種せんいの吸湿率(20℃ 65%RH)を示しています。ウールが飛びぬけて吸湿性が高いことがわかります。
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ヒトの体温調節機能
ヒトが蒸れを感じるメカニズムはよくわかっておりません。皮膚には熱や痛みを感じるセンサーが備わっていますが、湿度を感じるようなセンサーはないからです。
ヒトは暑いとき、体温を維持するために汗をかきます。汗腺から水蒸気の汗(見えない汗)をかくと蒸発潜熱(気化熱)が奪われ皮膚温が低下します。水の蒸発潜熱は44.0KJ/molと非常に大きいため、効果的に体温を下げることができるのです。このように体温維持に寄与する水蒸気の汗をかくことを有効発汗といいます。
ところが湿度が高い環境下や、発汗が続いて衣服内の湿度が高くなってくるとスムーズな有効発汗ができなくなってきます。そうするとダラダラと液体の汗をかくようになり、暑さとともに衣服が肌にまとわりついて不快感がMAXになるのです。このような液体の汗をかくことを無効発汗といいます。
ヒトは液体の汗をかき始めるころに ”ムレ” を感じるようです。ムレは誰もが不快と感じる感覚です。ウールの優れた吸湿性は衣服内の湿度を下げるためムレにくく、サラリと快適に感じるのです。
ウールの吸湿メカニズム
ウールは下の図(「羊毛の構造と物性」繊維社より引用)のように非常に複雑な構造をしています。ウールの内部のコルテックスは親水性で、細胞間に水蒸気を取り込む物理的吸着と、アミノ基・カルボキシル基・水酸基といった官能基と結合する化学的吸着の両方があります。ウールがせんいの中で最も優れた吸湿率を誇るのはこのためです。
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